長野県町村誌下巻によれば、明治9年に諏訪湖周辺には運送船123隻、漁船689隻、農船283隻、合計1,085隻があった。これを地域的に見ると運送船は諏訪湖釜口に近い平野・川岸村、諏訪湖南部低湿地である豊田・中洲村に多く、同低湿地に広く水田を持つ上諏訪・豊田・中洲の緒村には農船(作舟)が多く、藩政時代にとくに漁業権を与えられていた上諏訪の小和田、湊の小坂・花岡・豊田の有賀などには漁船が多く、利用されていた。
(1)舟の種類
現在、諏訪湖の船は在来舟と観光舟に分けられるが、在来舟は更に大きさ、造り、使用目的より分けることができる。

(2)大きさによる分類
1. |
大舟 |
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長さ11m、幅のきまりはないが、大体1.5~1.7m位荷物運び専門の舟で、米・30~40俵を積むことが出来た。舟が大きいため、舟の中に補強用の張りを入れた。
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2. |
中舟 |
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長さ10m位。もみを積んだ。 |
3. |
小舟 |
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長さ7.5m、幅76cm、諏訪湖では一般的な舟 |
(3)諏訪湖在来舟の造りの基本的特徴
諏訪湖周辺の気象条件(特に風)、波の状態、冬の氷、舟を使用しての作業目的の多様さから数多くの工夫がされでいる。
1. |
海の波のように大きな波ではないので、ヨットのような骨組み(キール)構造の舟ではない。 |
2. |
諏訪湖独特の鋭い波は、舟に大きな負荷をかけるが、それに負けない構造とするため、ほて(側舟)を一枚板で造り、前後方向に板を継ぐことはしない。 |
3. |
舟は経験的に造り、また、材料の材木の形をそのままに使うので、似たような舟であっても大きさ・形は、少しづつ違っている。また、材木を無駄にしないように造るため、舟により舟巾が違っていることが多かった。したがって、舟の安定性、操縦性は舟毎に少しづつ違う。 |
4. |
材料の木は「から松」が多かったが、野天に置いても長持ちし(約10年)、水に強く、木の強度もひのきに次いで強い。また、木質は重く、固いので舟を操縦する際に諏訪湖の風に負けろこともなく、諏訪湖の氷をバリバリ割って進むこともできた。 |
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